名古屋市名東区 K様邸
スタイル | モダンスタイル |
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概要 |
構造物を造らず、敷地を囲むフェンスもライン状のシンプルな形状。割栗石の敷き詰め効果で見えない境界を感じさせる。
唯一の構造物、ポーチから北へ伸びたタイルテラスがこの住宅外観の核である。
床が浮いた盤面のような軽さとシャープなデザインがインパクトを与える。
玄関ポーチとしての主役感、アプローチ動線、ポストや駐輪ゴミスペースなどの機能面、全ての要素をこのテラス空間が果たしている。
そして広くオープンな敷地全体のバランスを取るのは要所に植えられた樹木たち。場所、大きさ、目的をもって植えられた必要不可欠な脇役である。
敷地は建物前の空間は広く間口は広い。単純なデザインでは間が持たないであろうが、「インパクト」と「抜け」のバランスで最小限の構造物で完璧な空間構成となっている。
住宅新築に伴うエクステリア工事。
大規模公園に隣接した住宅地。住民以外の出入りが少ない静かな環境にあるK様邸。
エクステリアの計画にあたって問題となったのは、計画地が地区計画*の対象であったため細かな設計基準が定められており、工作物(外構工事で作る壁や土間などのこと)の形状については視認性重視のオープンスタイル以外の選択肢がなかった事である。
また、敷地が全ての面を道路に面している特殊な敷地条件。外壁やフェンスでプライバシーを確保できないため、建築(建物)側の外観デザインにも踏み込んで提案するなど、単なるエクステリアの設計ではなく、住む人の目線で外観をトータルにデザインすることが必須であった。
デザインは当然満足するものでなくてはいけない。デザインを妥協せず、住む人が不自由しない解決策を導くためには、関係機関、建築メーカーとの粘り強い交渉や打合せもデザイナーとしての責任と言える。
*【地区計画】都市計画よりもさらに細かい定められた地区範囲で、公共施設や建築規制を方向付ける定め。「この地区はこんな街にしましょう」といったまちづくり、まちなみのテーマが定められているため、建築の外観について規制を設けていることが多く、エクステリア計画は大きく影響を受けることが多い。